国立がん研究センター東病院 様

国立がん研究センター東病院×富士通 共同研究からみるリアルワールドデータ活用ビジョン

リアルワールドデータ(RWD)(注1)活用が、創薬の高度化や医療の効率化に期待が高まる一方、データ標準化やプライバシー保護が課題となっています。そこで、電子カルテデータの標準化と安全な分析環境の構築を目指し、富士通の技術を活用したデータプラットフォーム構築に係る共同研究を実施。国内事例の少ないプライバシー保護のあり方を探り、対策を検討しました。

注1 電⼦カルテデータなど、臨床現場で得られる診療⾏為に基づく情報を集めた診療データ、調剤レセプトなどの会計事務の情報を集めた医事会計データ等の医療データ

課題

  • 医療機関ごとに電子カルテの記入方法やコード体系にも差異があるため、データの統合と分析が困難
  • プライバシー保護に関する法整備や基準が未整備であり、プライバシーリスクの評価と軽減策の検討が必要
  • 日本のデータ構造と国際標準(FHIR)(注2)との違いによる、データの相互運用性確保

解決

  • クラウド型プラットフォームを用いた、電子カルテデータを含むRWDの統合、標準化、分析環境の構築
  • 関連法の解釈、海外事例調査、有識者とのディスカッションを通じたプライバシー保護対策の検討と実装。プライバシー影響評価の実施
  • グローバルなFHIR標準規格への準拠、および米国の標準化規格への対応により、データの相互運用性を確保

効果

  • 患者の薬の利用状況(ペイシェントジャーニー)の把握による、適切なタイミングでの医薬品提供。製薬企業におけるアンメットメディカルニーズの把握
  • 患者個々の状況に応じた治療法の選択支援。治療の実態をデータで把握することで、患者が主体的に治療方法を選択可能に
  • RWDを活用した予防医療施策の開発と展開

注2 FHIR:Fast Healthcare Interoperability Resources。一般的なWeb技術を用いて、複数のシステム間で医療情報のやり取りに必要な相互運用性を実現できる次世代フレームワーク

富士通のデータ標準化技術やセキュリティ技術は、安心・安全なRWD利活用の可能性を秘めていると再認識できました

国立研究開発法人国立がん研究センター東病院
土井俊彦病院長

医療の質向上

個別化医療の質向上や医薬品開発スピードの迅速化、予防医療の支援

国立研究開発法人国立がん研究センター 東病院様

開院以来、国のがん医療および研究の基幹病院として、「世界レベルのがん医療の提供と新しいがん医療の創出」を病院のミッションとして掲げ、新しいがん医療を可能な限り速やかに患者へ提供できるよう取り組む一方、研究面では、「臨床研究中核病院」、「ゲノム医療中核拠点」、「次世代医療機器連携拠点」、「橋渡し研究支援機関」など国のほぼすべての開発拠点整備事業を併設する先端医療開発センターと連携。がん医薬品医療機器開発の国内拠点としての地位を確立し、新しいがん医療を創出する世界的な研究を多数産み出しています。

共同研究の背景にあるリアルワールドデータ利活用の課題

現在、医療・ヘルスケア分野において、創薬の高度化やコスト削減、医療の効率と質の向上を通じた持続可能な医療の実現のため、RWD利活用の重要性や期待が高まっています。しかしながら、安心・安全にデータを分析・可視化するための仕組みが確立されていないのが現状です。
(詳細はPDF資料をご覧ください)

研究活用の幅を広げ、提供価値向上を目指し、国内のFHIR標準化規格に準拠

グローバルなFHIR標準化規格に準拠の1つである米国の標準化規格も扱えるように対応しました。標準化されたデータの構造やそのユースケースを検証する国際的な協業プロジェクトであるVulcan FHIR ACCELERATOR Programへ富士通も参加しました。
(詳細はPDF資料をご覧ください)

共同研究のパートナーとして富士通を採用し、Healthy Living Platformを導入

医療データの適正利用が、社会的にも増々重要となっている昨今、医療データは極めて重要な個人データであり、患者の個人情報の保護とプライバシー保護に対し慎重な取り扱いが求められています。一方で、あまりに厳格過ぎるデータ管理では、日本におけるRWDの利活用の推進を妨げることになるといいます。
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Healthy Living Platformを導入したリアルワールドデータ利活用の展望

国立がん研究センター柏キャンパスでは、共同研究で技術評価し構築された製品版のHealthy Living Platformを導入し、研究活用されています。複数の民間企業から研究利用の問い合わせも増えるなど、実際にRWDの共同研究も始まり、研究活用ニーズが高まっていることを実感されています。
(詳細はPDF資料をご覧ください)

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