コンバージングテクノロジー
デジタル革命は社会政策の立案においても始まろうとしています
富士通は、革新的なソーシャルデジタルツイン技術で未来を切り開きます
社会政策の結果を予測することは非常に困難です。
政策のインプットとそれに対する人々の反応について仮定することはできますが、変数があまりにも多く、粗い粒度の近似値でしかありません。地方自治体やスマートシティ構想では、将来の予測、特に人間の行動を含む複数の変動要素を予測することが困難であるため、意思決定に苦労しています。
二酸化炭素排出量削減のような分野で重要な変化が必要とされる中、人や社会のデジタルリハーサルのような政策イニシアチブを計画・検証するためのより良いモデルが必要です。
富士通は、デジタル技術と人文科学の知見を融合し、物理とデジタルの境界がない世界におけるこれらの社会的課題の解決に貢献する先駆的な取り組みを行っています。
富士通が実現する「ソーシャルデジタルツイン」
地球温暖化や自然災害など、複雑な社会問題への政策効果を予測するためには、人々の行動を理解することが必要です。
富士通は現在、デジタルツイン(通常は工場などの小規模で構成要素が限られるデジタルモデル)の開発を進めています。このデジタルツインを、人文科学の知見を応用して、都市や地域、さらには社会にまで広げようとしています。私たちは、人と環境の影響を組み合わせたソーシャルデジタルツイン(SDT)を構築しています。
SDTは、実世界をセンシングし、社会科学の洞察を加えることで、デジタル空間上に実社会を再現します。そのために、デジタル化によって増え続ける膨大なデータを活用しています。
例えば、デジタルリアリティソリューションのグローバルリーダーであるHexagon社と提携し、ドイツ・シュトゥットガルト市のアーバンデジタルツインプロジェクトを支援するプラットフォームを提供しました。シュトゥットガルトの土木事務所では、このSaaSソリューションを利用して、街中のIoTセンサーからのデータを可視化・分析し、サステナビリティの推進と60万人の住民の生活の質の向上を図る予定です。
「ソーシャルデジタルツイン」に必要なツールの構築
富士通は、これらの機能を推進するために、Actlyzerなどの富士通のAIの進化を通じて、将来のSDTに不可欠な基盤を構築しています。Actlyzerは、人の行動や表情、人と人、物と物との関係、周囲の環境などをセンシングし、人の心理状態を推定して次の行動を予測します。ヒューマンセンシングやコンテクストセンシングで得た人に関わるデジタル情報を用いて、人の心理状態を推定し、次の行動を予測することができます。Actlyzerはすでに、小売店での商品の最適な配置を計画するなど、販売やマーケティングの場面で活用されています。
また、Fujitsu Greenagesは、AIを用いた画像解析技術により、街中に設置されたカメラを使って、膨大な動画データから人の情報を自動抽出する取り組みを行っています。アイテムを検出してカウントし、識別「クラス」や個人を特定することができます。そのため、セキュリティや小売店や施設での新しい顧客体験の創出など、あらゆる都市計画のシーンで活用することが可能です。
また、ActlyzerやGreenagesなどのツールを支えるものとして、富士通は、人・モノ・文脈のデジタルツインをクラウド上で作成し、大量のストリームデータをリアルタイムに処理するプラットフォーム「Dracena」を開発しました。Dracenaは、サービスをスピーディかつ柔軟に開発・展開することができ、システムを停止させることなく追加・変更することも可能です。
富士通は、これらの構成要素を強化するだけでなく、次のステップとして、人文科学の分野から人間の行動に関する発見を統合することに注力しています。
ソーシャルデジタルツインテクノロジーの驚異的な未来
富士通は、米国カーネギーメロン大学(CMU)と、ソーシャルデジタルツイン技術の開発に焦点を当てた複数の研究プロジェクトで協業しています。グローバル社会における共同研究・技術の実用化を模索することに重点を置いています。
あるプロジェクトでは、交通規制や車両の動きの入力など、実世界のデータを活用しています。これは、交通の流れを動的に予測し、制御するための施策の有効性を評価することを意味します。もうひとつは、歩行者の3Dモデリングを拡張し、都市環境における歩行者の行動を時系列で予測するものです。これは、街路の活動を監視し、問題や事故が発生する場所を特定するために使用することができます。
日本では、富士通と川崎市が、最新のコンピューティング技術と次世代ネットワーク技術を駆使して、経済・社会・環境に関する情報をリアルタイムにデジタルで再現するSDTの実現に取り組んでいます。これは、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に貢献するための重要な役割を担います。また、持続可能な未来都市の実現に向け、市民と企業をつなぐ市民参加型のリビングラボを構築しています。
社会は、デジタルツインのようなテクノロジーと行動科学からの洞察を融合することで得られる潜在的な可能性に気付き始めたところです。富士通は、これらの分野に積極的に投資し、社会計画の未来を形作るツールとモデルを構築しています。